●『アメリカン・グラフィティ』をみくびるな
●映画と音楽●『アメリカン・グラフィティ』(asin:B00024Z428)
以前 [ビーチ・ボーイズ50曲選] のところでも書きましたが、小学生の頃に
この映画を見た事が〜僕の音楽ルーツとして非常に大きなものとなっていると思います。
本作はジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』に先駆け'73年に放った大ヒット作であり、
ここで展開される〜'60年代アメリカにおいて何処でもあったであろう青春群像の描写を、
当時の様々なヒット曲にのせて描くという非常にエポック・メイキングな作品です。
この映画の影響で〜いわゆるオールディーズという切り口が流行し、様々な亜流映画も作られ
ましたが、やはりこの本家が持つエヴァーグリーンな輝きは格別のものでしょう。
彼の作品を“軽薄短小”と評する人がたまに居ますが、それは表層しか見てないナンセンス。
この映画が制作された'70年代前期という時代は〜ヒッピー文化やベトナム戦争等を経て米国
がどんどんシリアスになっていた時代で、映画の世界でもニュー・シネマと称される流れが主流
となって来ていた時代。そんな社会の流れの中で〜敢えてこの『アメリカン・グラフィティ』や
『スター・ウォーズ』を放ったジョージ・ルーカスという人は…本当は相当カルトな人でしょう。
言ってみれば〜“カウンター・カルチャー”を…更に“カウンター”したようなものですから。
今でこそヒットメイカーとして映画界のVIPではありますが、客観してみれば…ニュー・シネマの
時代に〜大の大人がミニチュアの宇宙船の映画を作るというのはハンパじゃなくカルトですよ。
そういう視点で彼の映画を見るとまた新鮮なはずです。結果として大ヒットしましたが、これら
は“カルトな神話”に他ならないからです(『スター・ウォーズ』に関しては〜また改めて)。
さて、この『アメリカン・グラフィティ』は〜リチャード・ドレイフェスとロン・ハワード
(のちの名監督)を軸に、ひと夏の終わりのある一夜と卒業(アメリカは9月からが新学年)を
モチーフとした映画ですが、バカ騒ぎと〜その裏にある淋しさ/虚無感の両面をノスタルジーと
共に描ききれているのが傑作たる所以。ハリソン・フォードをはじめ〜傍役も皆輝いています。
この映画を軽く見ている人は〜きっと作品の本質を見れてないはず。全ての役がモチーフですよ。
僕の中では…青春映画の傑作として〜フェリーニの『青春群像』、石原裕次郎の『狂った果実』、
ピーター・ボクダノヴィッチの『ラスト・ピクチャー・ショウ』と並ぶ名画なのであります。
そして、この映画のもうひとりの“主役”と言える存在が〜その“サウンドトラック”。
ルーカスは原案の段階から〜“このシーンにはこの曲”という楽曲指定をしていたらしいです
から核となるのは当然であり、ある意味…既製楽曲を使った“元祖プロモーション・ビデオ”の
集まりとも言えるような切り口の映画でもあります。
そして、その選曲自体が〜また素晴らしい。ロックンロールとR&Bが分け隔てなくほぼ均等に収
められ、画像と共に〜'60年代当時を知らない僕にも“ありもしない郷愁”を抱かせてくれます。
レーベルを超えた選曲は〜今改めて見ても実に見事なものであり、まだ何も知らない音楽ビギナー
だった小学生の頃の僕にとって、この映画を音楽ルーツと出来た事は本当に幸せだったと思います。
また国内盤レコードに付属していた朝妻一郎さんらによる収録各アーティストごとの詳細解説は、
音楽の輪を拡げていくひとつの指針となりましたし、僕個人にとっても非常に参考になりました。
僕は常々、ビギナーや子供達にこそ〜始めの内の段階で本当に良いものに触れさせてあげる事が
何より大切なんじゃないかな〜と思っています。それは決して〜“子供騙し”な作品では無く。
これはきっと、音楽に限らず言えるでしょう。素養の豊かさが未来を創る…とすら思えますから。
僕は現在のアメリカには全く興味ありませんが、音楽や映画(例えばディズニーなども含め)に
おけるアメリカの文化の土壌や歴史や蓄積には、やはり正直…屈しがたい魅力があると思います。
これらに〜たとえほんの一片でも〜触れて育ったおかげで、特に日本において数限り無く存在する
〜“子供騙し”な商売作品を拒絶出来るようになった事は、本当に良かったと痛感しています。
共通趣味の仲間は少なかったという弊害はありましたが、結果的に〜やっぱりそれでも良かった。
この映画に登場する音楽は…決して凝った音楽ではありません。むしろプリミティヴな物ゆえに〜
ごまかしの効かない“楽曲自体のパワーがすべて”のナンバーばかりかも知れません。
だけど、例えばチャック・ベリーに『あなたの曲は単純だ。』とダメ出しする人が居ますか?
凝りに凝った名曲も存在していますが、凝ってるだけで中身の虚空な作品より〜“原石の輝き”を
僕は重んじます。初期衝動を新鮮に記録した名作には、年月を超える力が確かに存在してますから。
この映画が出来て30年経ちました。そして映画にて流れ続ける音楽は40年以上前のものです。
これらは年月を超えて残り、日本でも多くの街の店頭で〜新作と並び選択出来る所にあります。
Why don't you DIG this ?!
【『アメリカン・グラフィティ』サウンドトラック収録曲】(asin:B000063KZ2)
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■The Collectorsアルバムガイド〜7th『CANDYMAN』加筆
●7thアルバム『CANDYMAN』加筆
出世作「世界を止めて」『UFO CLAV』に続く本作は、前作の骨太さを持続しつつ〜よりポップさを打ち出した作品であり、キャッチーな名シングル「MOON LOVE CHILD」の成功もあり、拡がったファン層に大いにアピールする作品となった。
全体にどことなく70年代のムード漂う作品であり、バンドの好調さと加藤ひさしのロマンチシズムが溢れている印象が強い。
明解で明るめの作品がアルバムをリードしており、ハードさは控えめであるが、初期Baidis時代の作品に通じるカルトな名ソングライターぶりが光る「ザ・バラッド・オブ・ロンサム・ジョージ」「雨のうた」などマニアには堪らない名曲も飛び出してくるのが嬉しい。『UFO CLAV』がサウンド・メイキングに凝った作品だとすれば、『CANDYMAN』は〜メロディとロマン溢れる歌詞が主役と言えるアルバムであろう。
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■『CANDYMAN』アルバムガイド→http://d.hatena.ne.jp/fabzweb/20050219
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