◆ザ・コレクターズ:Album Guide (叩き台Base編) -5th/6th

fabzweb2005-02-20





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◆5th『COLLECTOR NUMBER 5』('91)

◇ポピュラー度 ★★★☆
◆MANIA度 ★★★★
◇LOVE度  ★★★☆
◆BEAT度  ★★★★★
◇My オススメ度 ★★★★




(COCP-50804)=新紙ジャケット/Bonus Track付再発盤



軽快Beat感覚全開の移籍第1弾/新メンバー初作品。スマートでタイトな演奏と凝った楽曲の調和がFresh!




加藤ひさし(vo)/古市コータロー(g)に加え、小里誠(b)/阿部耕作(ds)という現在のメンバーとなった初のアルバムであり、そのビートの強靱さと可能性の拡がりを感じさせるコレクターズの新しい一歩。
全体に小気味良いビート・ポップス感に溢れる作品で、デビュー作の『僕はコレクター』に近いビート度の高さである。新メンバーとなっての再デビューとも言えるようなスマートな活きの良さが何より印象的だ。


プロデュースにピチカート・ファイヴ小西康陽を迎え、前作でのセルフ・プロデュース/高浪敬太郎アレンジ参加というものとはまた別の形でのコラボレーションを目指したものであろう。
小西康陽氏と言えば、プロデュース作品の多くを…良くも悪くも“小西印”にしてしまうというトッド・ラングレン系の人。本来このアルバムの狙いもそのあたりだったのかも知れないが、コレクターズとピチカートは旧知の同志とも言っていい側面もある為か、今作はやはりあくまで“コレクターズ印”作品。揺らぎ無い独自の楽曲があるが故か、又は…あくまでそれを活かす為のプロデュースという方向にしたという事なのかも知れない。もっとも、ピチカート好きが一瞬で反応出来る大ネタもいくつかあるので〜聴いてのお楽しみに(ネタバレはヤボなので書きません)。
このアルバムは、新しいバンド・サウンドの等身大に近いアレンジが中心となっている為、一見は前作などと比べてシンプルな印象もあるが〜実は本作での加藤ひさしのメロディは相当に凄い。それはまるで、初期のエルヴィス・コステロのアルバムのようにキレたメロディが平然と転がっているという印象に近い。
コレクターズの不幸は、日本には楽曲自体をきちんと評価出来る邦楽音楽誌が1つも存在しないという事。どれも生き様やビジュアルや雰囲気や付加価値と金で買われた記事ばかり。それはリスナーを音楽自体に盲目にさせようとしているに等しい行為。この国が音楽的に異常な国であるという事を是非認知して欲しいと共に、この機会に…付加価値不要で勝負出来るコレクターズの音楽自体を紐解いてもらえたら幸いだ。


オープニングを飾る〜活きのいいビートとひねり感覚の効いた展開を見せる「おねがいホーキング博士の歌詞は、ある種の人々にとっては衝撃的。しかし真意を辿れば…根底の確かさ/鋭さは“after 9.11”の現代にこそ響いてしまうかも。シングル曲SEE-SAW「カメレオン・ダイナマイト」、そして傑作「ハレツするボク」など、コンパクトな中に美味しいメロディや技を惜しげもなく注ぎ込んだビート・ナンバーが多いのも本作のウリ。怪しげで痛快な「暗闇の男」なども展開部やサビのメロディは相当唸るものがある。
極めつけは〜「ロバになる前に」。アコースティックな柔らかさとビート感覚の対比、繊細で複雑なメロディ、そしてほのぼのしながらも痛切にシニカルな歌詞の〜“つづれおり”が実に見事。初期4作における“寓話的ストーリーテラーとしての加藤ひさし”を評価する人にとっては絶賛に値する隠れた名曲であると同時に、ザ・コレクターズ新時代を告げる普遍性を併せ持つ作品であろう。


普遍性という意味では、マージー・ビートのしなやかさや柔らかさを持つ「きみのステキな金時計」、そして後のコレクターズの“ラブ・ソングにおける普遍性とマニアックさの調和”のさきがけとも言える壮大な名バラード「あてのない船」なども才気溢れるところだ(バート・バカラックキリンジ好きにも薦めたい捻りぶりが見事)。
小西康陽氏とのコラボレートとして僕が最も印象的なのは「1991」。もっとも、これは小西氏側が得たものの方が大きいかも知れない。以降のピチカート・ファイヴは、こういうピリリとしたメッセージ色も含めた作品を〜時々不意に出すようになった気がする。
そしてラストの大作「ジェットパイロットの夢」は、初期BAIDISレーベル4作からの流れを更に一歩推し進めた名曲。ファンタジーや寓話的世界を繰り広げたそれまでの作品群を〜直後に“リアリティという見地”から俯瞰し客観した視点は、細野晴臣の名曲「はらいそ」にも通じる冴えを感じる。複雑な思いの入り交じった深みに溢れた、こうした甘さと苦さを同時に醸し出せるソングライターを、僕は…他の雰囲気だけの邦楽ロック・スター達と並列に置く事は決して出来ない。


前作に続き60分を超えるボリューム満点の本作は、ビート・ポップス名曲集という趣が強い。優れたメロディ満載の傑作である。ただし〜もしかしたらコレクターズ・ビギナーには少し伝わりにくい部分もある作品かも知れない。前作にも言える事なのだが、個人的には…制作過程においてもっと時間をかけ練られた形で仕上げられたなら〜間違いなく日本のロック史上トップ・クラスの名盤に成り得たと思える作品だからだ。あえて苦言を述べたが、それは“勿体ない”と思える程の楽曲自体の出来の良さ故である。
前作では曲によりメロディのキレぶりにアレンジが追いつかず多少練りきれていないものがあり、本作ではプロダクション段階の早急さか多少同傾向の作品が続く印象がある。ここまで多くの曲数やアイデアのサービスしなくとも、曲数減らして1曲ごと名曲ぶりを威張るくらいでもいい名曲があっけらかんと並んでいるのが…ある意味勿体ないのだ(そういう意味でも初期のエルヴィス・コステロ的)。ビギナーの方は、多少他のコレクターズ作品を聴かれた上で本作に触れられたら〜その良さが的確に伝わると思うし、既にお持ちの方は前作や本作の曲順等変えて聴いてみると新たな発見があるかも知れない。
ただし、多分ここに述べた事はメンバー自身が当時の段階で客観視出来た事に違いない。何故なら…次作『UFO CLUV』は、上記の内容を踏まえたかのような名盤となっていたからだ。





◎コメント(再発盤帯より):
 小西康陽(ex.Pizzicato Five)
『“No.5”、思い出の一枚です。
 コレクターズ、ずっと続いてほしいです。
 解散しないビートルズって感じで。』



(以降、加筆準備中です。)

ピチカート・ファイヴ
オリジナル・ラヴ
フリッパーズ・ギター
スピッツ
aiko

☆参考:HMV/Amazon(新)/Amazon(旧)


◆6th『UFO CLUV』('93)   

◇ポピュラー度 ★★★★☆
◆MANIA度 ★★★★
◇LOVE度  ★★★★☆
◆BEAT度  ★★★★
◇My オススメ度 ★★★★★




(COCP-50805)=新紙ジャケット/Bonus Track付再発盤



「世界を止めて」収録。Cultから骨太に生まれ変わったバラエティでポピュラ-性高い1枚。Popから渋系まで網羅!




とにかくこのアルバムでのザ・コレクターズには驚いた。前作『COLLECTOR NUMBER 5』においての変化よりも、ミニ・アルバム的Maxi Single『愛ある世界』('92)を経ての本作での“変化のインパクト”は強烈だった。簡素に述べるなら、“カルトなイタズラ少年”が…突然“骨太の大物”になったようなものである。


このアルバムは、コレクターズがカルトからメジャーな存在に踊り出た最初の記念すべき作品となったが、その要因はまず…何より「世界を止めて」のシングル・ヒットであろう。以前のコレクターズとは明らかに異なる骨太なサウンドとストレートな歌詞。この曲から彼らのファンになった人も多いのも頷けると同時に、以前からのファンは動揺した人もいる事であろう。
しかし、アルバム『UFO CLUV』を聴いてみてはじめて、「世界を止めて」の意図が判った気がする。個人的印象では、このアルバムはコレクターズにおける〜“ザ・フーの世界的成功への軌跡”を念頭に置いたものなのではないかと思えたのである。つまり、ザ・フーの『WHO'S NEXT』に値するような、コレクターズのネクスト・ステップを告げたアルバムだったのではないか。
本作においてプロデュース参加した吉田仁氏は、自身もサロン・ミュージックというユニットで活動したり、フリッパーズ・ギター等を手掛けた事でも知られる音楽マニア系の人であり、ある意味、客観性を持った引き出しの多いプロデューサー。そんな吉田仁氏から見た“コレクターズ像”や、吉田仁氏にプロデュースを依頼したという“コレクターズ側の意図”というようなものが見事結実した作品であると言えよう。


正直に言うと、僕には「世界を止めて」はラブ・ソングとして、はじめは…少しまぶし過ぎた。しかしアルバムを聴いて、“この曲のリフはザ・フーの『TOMMY』のモチーフなんだな”と判ったらこの曲が見えて来て、又、アルバム自体の狙いの意図も感じ取れた気がする。
『UFO CLUV』は“グローバル”なアルバムだ。「世界を止めて」に通じるメジャー感を感じさせるナンバーは何曲か収められているが、同タイプの楽曲は…実は一曲もない。ここには、極めてカラフルなものから極めて渋いナンバーまで、実にバラエティに富んだ作品が並んでいる。そしてどの曲も、全方位に向け極めて非常にクオリティが高い。
例えるなら〜今までのコレクターズは“ブリティッシュ・ビートに憧れて”というようなものだったのに対し、本作ではまるで…“君たちはイギリスのバンドなんだ。世界に向けて音楽を放て。”と言われたかのような印象がある。今までも充分に洋楽マニアぶりを感じさせるいい意味での“バタ臭さ”のあった彼らだが、ここでのそれは“バターそのもの”であり、「世界を止めて」は実はまるで、“日本ノFANノ為ニ曲ヲ書キマシタ。”というイメージなのではないかと個人的には感じている。そうした洋楽的見地全開のナンバーにあえて日本の一般大衆が判りやすく自己を投影しやすい歌詞をぶつけてみたところが新境地であり、それはこの曲に限らず〜アルバム全体の隠しテーマなのではないかとすら思える。


同様の事は、全ザ・フーMANIAの表情がほころぶ壮大な「愛ある世界」、ポップさと凝り加減の調和したチャーミングなファンキー・ロック新境地「Monday」などにもよく現れている。特に「Monday」aikoが溺愛している事でも知られるが、aikoのファンは更に本作収録の「5・4・3・2 ワンダフル」を聴けば〜彼女の“ジャクソン・ファイブ趣味”の発端に触れる事が出来るであろう。


“コレクターズ初期カルト4作至上主義”の方々の一部には、「世界を止めて」やこの『UFO CLUV』が“売れ線になった”と嘆く方も多少居るようだが、果たして簡単にそう言い切れるであろうか?
例えば、どこまでも影を落とすソリーナ的ストリングスが美しい小品「リラ」などは過去最高に渋い作品なのではないか?現代版プロコル・ハルムとも言えそうな月は無慈悲な夜の女王や、ハードな「Dog Race」「U・F・O」などが“売れ線”と言えるであろうか?


本作は各収録曲ごとのコントラスト(対比)が強くなったという傾向が強く、コレクターズが新次元に入った事を告げる作品と捉えるべきであろう。初期のカルトなコレクターズも確かに素晴らしいし個人的にもハマルところであるが、正直、あの路線のみでクオリティや人気が長続きしたバンドを洋邦問わず僕は知らない。
むしろ客観的には、あのカルトでマニアなコレクターズが現在も活躍している事の方がある意味驚きであり、そう成り得た事のきっかけが本作だった事は疑う余地も無い。これが無ければ後の「遠距離通話サービス」や「6 or 9」といった初期コレクターズMANIAが驚喜する名曲も聴く事が出来なかったかも知れないという点でも、本作の意味は相当に大きいと言えよう。


“このアルバムこそがThe Collectors”と言い切れない多彩な魅力を持つ彼らであるが、やはりこの『UFO CLUV』は、代表作のひとつとしての手応えを強く感じさせてくれる名盤であろう。このアルバムのどの収録曲をとっても、邦楽という狭い物差しでは計りきれない“グローバル”な視点に溢れたものであり、それを親しみ易い言葉に乗せ〜より多くの人々に向け放ったアルバムだからである。
邦楽ロックしか聴かない人が洋楽を聴くステップと成り得る作品であると同時に、邦楽ロックなどろくに聴くかない洋楽派も思わず唸る作品である。
そんな本作が当時ヒットしたという意味は大きく、また現在においても、その価値は衰えるどころか〜“新たな発見”を秘めているような引き出しの多い名盤であるだろう。それは初めて聴く人にも〜何度も聴いている人にも言える事であろうし、そうした…容易には計りきれない要素を潜めた趣深いものこそが、飽きることなき“マスターピース”と呼ばれるに値する作品なのであろう。


【再発盤ボーナス・トラック】
再発盤にはボーナス・トラックとして、『UFO CLAV』に先駆けてリリースされたマキシ・シングル「愛ある世界」からの3曲も追加されている。
「愛ある世界」はマキシ・シングルとは言っても〜新曲+レア2曲+カヴァー3曲による6曲入りのボリュームあるもので、実質ミニ・アルバムと言える手応えの作品だった(残り3曲は『CANDYMAN』再発盤にボーナス収録)。
カヴァー2曲は、モッズ・アンセムでもあり〜ザ・フーやジャムのカヴァーでも知られる「恋はヒートウェーブ」(Motownの名Girl Group〜マーサ&ザ・ヴァンデラスがOriginal)とレフト・バンクの「愛しのルネ」(Motownのフォー・トップスもカヴァー・ヒットさせた)を収録。
そしてレア曲は〜初期の人気曲でありながらメジャー未発表だったパンキッシュな「NICK! NICK! NICK!」。ストレートで潔いビート全開ナンバーであり、現在-木村カエラ堂島孝平の作品も手掛けるアイゴンこと會田茂一(FOE/EL-MALO)が敬愛の[カヴァー]をしている。カーネーション直枝政広(直枝政太郎から改名)もライヴで唄ったらしい。こうした極めて初期のナンバーでも〜タイトな中に手応えある曲創りをしているのが流石と言える名曲だ。
(以降、加筆準備中です。)




 (オリジナル盤ジャケット)→

◎コメント(再発盤帯より):
 aiko
『“MONDAY”を初めて聴いた時この曲の全てに恋をしました。クラクラしてため息が出てドキドキする曲は“MONDAY”しかない!!』



☆参考:HMV/Amazon(新)/Amazon(旧)



                            *なるほどね〜と、思ったら… (こちら投票♪)
1st『僕はコレクター』 2nd『虹色サーカス団』 3rd『僕を苦悩させるさまざまな怪物たち』
4th『Picturesque Collector Land』 5th『Collector Number 5』 6th『UFO CLUV』
7th『CANDYMAN』 8th『Free』 9th『MIGHTY BLOW』 10th『HERE TODAY』
11th『BEAT SYMPHONIC』 12th『SUPERSONIC SUNRISE』 13th『GLITTER TUNE』
14th『夜明けと未来と未来のカタチ』 新譜 『Greatest Tracks』+ 15th『Biff Bang Pow』
=ビギナーの方へオススメ)[コレクターズ特集] [Album Guide一覧] [Past Best Albums]

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