◆ザ・コレクターズ:Album Guide (叩き台Base編) -3rd/4th
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◆3rd『僕を苦悩させるさまざまな怪物たち』(89) ◇ポピュラー度 ★★★ ◆MANIA度 ★★★★★ ◇LOVE度 ★★☆ ◆BEAT度 ★★★★☆ ◇My オススメ度 ★★★☆ (TECI-1065)=紙ジャケット/Bonus Track付再発盤 深化サイケやスト-リ-テラ-としての手腕も冴える〜拡がり増した力作。ミュ-ジシャンシップ輝く1枚! ハードなギターと魅惑の展開部メロディの調和が見事な「まぼろしのパレード」で幕をあける本作は、「占い師」などにも顕著な60年代末期/サイケ色が更に印象的。 当時のネオGS同志ファントムギフトや後のデキシード・ザ・エモンズなどを連想する人も多いであろうが、なによりXTCの変名バンドThe Dukes Of Stratosphereの『25 O'CLOCK』の衝撃の現れであったでろう。 逆に、シンプルな「あの娘は電気磁石」はメロディと純粋さがストレートに現れた佳曲で、個人的にはブルーハーツやハイロウズに通じる気もする。甲本ヒロトに是非唄って欲しい。 モッズやパンクとしての色濃い「ぼくはプリズナー345号」「CHEWING GUM」「アーリー・イン・ザ・モーニング」等ナンバーは〜普通のバンドなら代表作となる位のツボを捉えているが、本作は全体にもっと広い意味でのギター・ロック・バンドとしての充実さが光るアルバムだ。 ノーマル8ビートが彼らにしては新鮮な「スーパー・ソニック・マン」は、「CHEWING GUM」と並び歌詞のユーモアも判りやすい魅力を現している。 前作で高く評価された加藤ひさしの詞の魅力という面でも、今回はストーリーテラーとしてのこだわりが更に随所に溢れており、中でもバラード「太陽が昇るまえに」は後の数々の名曲の原石のような響きがある。“男の弱さ”を隠さず現した点は多くの共感を生んだ事であろう。 そして本作のハイライトは〜やはりタイトル曲とラスト「CHARY GORDONのうた(ダニエル・キイスと白ネズミ“アルジャーノン”にありったけのぼくの愛を)」への流れだろう。タイトル曲はザ・フーの『TOMMY』や「A Quick One」を彷彿とさせるロック・オペラ手法で、非常に難しいタイプの作品に敢えて挑むミュージシャンシップというか“心意気”、“こころざし”の高さに非常に好感を覚えたのを思い出す。 全体として本作は、邦楽においては本当に稀な〜“作品として残すという事の意義”を強く感じさせる力作と言えよう。しかしある意味で、ビギナーがいきなり聴くには相当コアな世界かも知れないという理由で〜少しオススメ度は下げた。逆に、カルトな人には次作と並びイチオシかも。 この作品の世界は…後の「世界を止めて」と同アーティストとはとても思えないが、どちらの面でも一流なのがThe Collectorsの真の凄さであるので是非その両面を聴いてみて欲しい。 しかしこれは本当に“カルトな大作”だ。 (加筆準備中です。) The Dukes Of Stratosphere XTC トッド・ラングレン 『SKYLARKING』 『ORANGE & LEMON』 ☆参考:HMV/Amazon(新)/Amazon(旧) |
◆4th『PICTURESQUE COLLECTOR LAND』('90) ◇ポピュラー度 ★★★☆ ◆MANIA度 ★★★★★ ◇LOVE度 ★★☆ ◆BEAT度 ★★★☆ ◇My オススメ度 ★★★★☆ (TECI-1066)=紙ジャケット/Bonus Track付再発盤 Beat Bandの枠をはみ出す壮大サイケを含む実験精神満載宝箱。アイデアとクリエイティヴな名曲の数々が圧倒的! 数多いコレクターズ名盤の中でも〜最もめまいしそうな1枚。サブタイトルの〜幻想王国(まぼろしのくに)のコレクターズ〜というのが現すように、ドリーミーかつトリッピーな世界が全編に拡がっている。キャッチーだが一筋縄ではいかない“コレクターズの甘い毒”でいっぱいの、至福の迷宮である。 カルト・ポップ「マーブル・フラワー・ギャング団現わる!」はサビのメロディが本当にクセになる傑作だ。前に触れた“コレクターズの甘い毒”とは正にコレ。2ndの「虹色サーカス団」と並び〜誰でも笑顔で口ずさめる魅力あるナンバーである。続く「ぼくのプロペラ」も人気曲で、フォーク・ロックの影響を受けた英国ロックに〜更に影響を受けたような作品だ。 大英帝国ポップスへのこだわりと気品に溢れたチャーミングなメロディーが素晴らしい「時計発明家」から〜一転してシニカルな「地球の小さなギア」への流れも相当に強力。再び参加している高浪敬太郎の“もはや怖い”アレンジも見事。高浪氏は最新作でも久々に参加しているので、聴き比べるのも面白いであろう。 キンクス趣味丸出しのボードビル調「...30...」やゾンビーズ的ニュアンスも漂う「ちびっこアドルフ」も〜シニカルに楽しい悲哀溢れる悲喜劇のようだ。 モッズ派には最強にいかしたギター・リフの「気狂いアップル」。歌詞が最高にカルトでヤバイ。そして、ニュー・ウェーヴ的キッチュさに〜サーチャーズ、スウィング・アウト・シスター、そしてフィンガー・ファイブあたりが乱入した様なパーティー・チューン「彼女はワンダーガール」など、過剰なアイデアが惜しげもなく次々交錯するアルバムだ。 そんな中で登場するのが超カルト・ナンバー「Dearトリケラトプス」。これを最初に聴いた時には卒倒した。おごそかで壮大なサイケデリック感覚を高度な楽曲創りで練り〜あくまでポップスとして仕上げる力量は只者ではない。深層を付く歌詞に飛躍的メロディ。これを聴いてコレクターズに才能を感じない人は、多分単なるおばかさんだろう。邦楽でここまでイッてる人いる? コレクターズ的チャーミングさがスマートな「S・P・Y」は、ピチカート・ファイヴ的装飾要素がキャッチー。それもそのはず〜本家・高浪敬太郎参加だから当然で、小品だが、かわいく楽しい小粋なナンバー。 そしてラストは“不条理の中のリアリティ”が炸裂する名ロック・バラード「ロケットマン」で幕を閉じる。これにはジギー・スターダスト時代のデヴィッド・ボウイやトニー・ヴィスコンティも真っ青だろう。不条理であり、ロマンなのだから。 全15曲60分に及ぶ大作であり、その過剰なとっ散らかりぶりは本当に凄い。ただし、ここまで来ると必ずしも万人受けとは言い難い。例えるなら奥田民生の在籍していたユニコーンの名作『ケダモノの嵐』に通じる作品かも知れない。ただし、今日的に見れば本作の方がクオリティが高い…と言うか深い。 本当にコレクターズは早すぎた。しかし、今からでも遅くは無い、是非この凄さを確かめてみて欲しい。ビギナーへのオススメ度では他のコレクターズ作品に譲るが、実は個人的には初期で最も溺愛しているアルバムである。 (加筆準備中です。) 松尾清憲 杉真理 BOX 飯尾芳史 ☆参考:HMV/Amazon(新)/Amazon(旧) |
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♪今日の1曲マーブルフラワーギャング団現る(→Real Player)/ザ・コレクターズHP [特集コチラ]
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