I Can't Explain

fabzweb2004-11-13




“I Can't Explain” / ザ・フー THE WHO : Song Guide  


1965年に発表されたTHE WHOデビュー・シングル。英国ヒット・チャート8位を記録。
とにかくシャープ、そしてスマート。
THE KINKSの有名な「You Really Get Me」のギターのリフレインをモチーフにした〜
“POWER CHORD”のインパクトについて語られる事が多いが、
それも当然で-この曲はその「You Really Get Me」を手掛けたSHEL TALMY当人による
プロデュース作品である(*1)。
KINKS以上に大いにMODSにアピールしたのも頷けるスタイリッシュなサウンドが印象的。


後の"LED ZEPPELIN"-JIMMY PAGEがこのリフレインをPlayしたとの噂も囁かれていたが、
'80年代に初めてレコード化された未発表作品「Leaving Here」(THE WHOのデビュー直前
録音/『ODDS & SODS』CD BONUS等で聴く事が出来る)でも〜この「I Can't Explain」
と同質のシャープなのギター・カッティングを聴かせてくれている事実から、
これは-やはり、PETE TOWNSHEND自身による演奏である事は間違いないであろう(*2)。


ギター・リフレインと共に、KEITH MOONのKICK DRUMと〜JOHN ENTWITSLEのBASS
フレーズの“異常なまでの揃え”が、対する〜16BEATと言っていい程のタンバリンの
コントラスト対比として〜もはや“FUNK”の一歩手前であると言ってもいいだろう。
ROGER DALTREYのアイドル〜JAMES BROWNによる「I Got You」Original Versionの
登場時期でもある'65年のサウンドという点からしても、THE WHOのセンスは鋭い(*3)。
もっとも、JBが“異常なまでの揃え”を“Bridge Partで崩して対比”するのに対し、
THE WHOは〜KEITHの“超FILL IN”、PETEの“LEAD CHORD GUITAR”である訳だが。
デビュー当時の彼等が“MAXIMUM R&B”と名乗っていたのは、
この曲や「Substitute」、先の「Leaving Here」などを聴くとよく理解出来る。


コーラス&ピアノ担当は“IVY LEAGUE”(*4)。
THE BEACH BOYS的コーラスというIdeaはKEITHの好みを楽曲に盛り込んであげるというPETEのサービス精神で、それが結果的にこの作品に“チャーミングさ”という側面を与え、
ROCK/R&B/POPSという多彩な要素をコンパクトに凝縮した作品となったとも言える(*5)。


あのTODD RUNDGRENによる'60年代アメリカのビート・グループ-“NAZZ”の代表作品
「Open My Eyes」においてのモチーフは〜もちろん、この「I Can't Explain」。
ここではTODDに軍配を挙げてあげてもいい。WHOには、更に50作品以上良い楽曲がある。
因みにBEATLESの「Me & My Monkey」等も、この曲辺りのWHOサウンドがモチーフでは?
NORMAN COOKFATBOY SLIMによる「Going Out of My Head」でのサンプリングも有名。


 *


そして、
デビュー曲からいきなり“オレには説明出来ない”という歌詞のインパクトも強力だ。


当時の他の楽曲では力強い唄い方のROGERが、ここでは-情けなく可愛い歌唱で良い。
歌詞におけるテーマは、言葉として記される「これは愛だと思う」という事より、
むしろ〜「説明出来ないもどかしさ」という事に重きが置かれていると言えよう。
これは世界中のティーンエイジャーの共通項のひとつでもあり、
また、特に“MODS”のような〜何よりまずスタイルにこだわりを見せる類いの人々
にとって〜1番やっかいに思うであろう「心の内面呈示」を暗示している気もする。


PETE自身がこの時点でそれを意図したかどうかはさておき、
結果的にTHE WHOは、デビュー曲からして〜
後のテーマに通じる「人の内面に関して」を唄っていたというのが象徴的である。


 *


なお、この作品は、
2004年7月-THE WHOの日本初公演においてオープニング・ナンバーとして演奏された。


“Next Act is...THE WHO !”というアナウンスと共に会場に拡がった“大歓声 ”。
あんな“大歓声”は、聴いた事が無い。
日本にどれだけTHE WHOのファンが居るか判らなかったが、
あの“大歓声”で、どんなに皆がTHE WHO公演を待っていたかが判った。
心底、嬉しかった。
BACK STAGEにて待機していたPETEに、そしてROGER DALTREYに、
この極東の地に於いてのあの“大歓声”が〜どんな風に響いたであろうか?
そしてステージに、彼等が〜“本当に”現れ、僕らの興奮は頂点に達した。
“伝説”が“現実”となった瞬間だった。僕らの夢は本当に正夢となったのである。


ここまでのくだりは〜先日の「THE ROCK ODYSSEY」のテレビ放映では省略されたが、
いかに皆がTHE WHOを待っていたかが、その想いが本当に溢れてしまっていたと思う。
(あれが「Live TV」でなく「映画」なら、絶対押さえなければならない部分だろう)


そしておもむろに〜PETEがギターで弾きだしたフレーズが〜この「I Can't Explain」。
あの感激は、僕には本当に、旨く「説明出来ない」。





 (オリジナル・アルバム未収録。『MY GENERATION』-CD Delax Edition BONUS収録。
 『MEATY BEATY BIG AND BOUNCY』『THEN AND NOW』等BEST ALBUM収録。)




 *関連名詞日本語表記*
 (英語翻訳ソフトウェアが使用される場合、意図表現が正確に行なわれる見込みは半分未満です。それを考慮に入れてください。)
 ザ・フー ピート・タウンゼント キース・ムーン ロジャー・ダルトリー ジョン・エントウィッスル
 キンクス レッド・ツェッペリン ジミー・ペイジ シェル・タルミー ミッキー・モスト アイヴィー・リーグ
 ビーチ・ボーイズ ノーマン・クック ファットボーイ・スリム トッド・ラングレン ナッズ

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 *Note*
 (*1)〜(*5) → “もっと Explain”(近日予定)


 〜この書込み内容は後日所定コーナーに移動する予定であり、現在暫定的にここに掲載されているものです。