Anyway,Anyhow,Anywhere

fabzweb2004-11-15




“Anyway, Anyhow, Anywhere” / ザ・フー THE WHO : Song Guide  


1965年に発表されたセカンド・シングル。英国ヒット・チャート10位を記録。
THE WHOサウンド創りの特徴が-この時期に早くも現れている。


それは“構築と破壊の同居”とも言うべきもので、
顔見せとしての役割を見事果たした「I Can't Explain」に続いての〜
“メロディアスでポップなのに過激”という、
よりコアなTHE WHOの魅力を端的に〜コンパクトに表現している作品。


次にリリースされる破壊的シングル作品のおかげで派手さは薄れるが、
これは、「とんでもないセカンド・シングル」であると言えよう。
KINKSうんぬん〜と言えた前作に対し、ここでの独創性はどうだろう?
ちなみに、この時点でJIMI HENDRIX EXPERIENCEはまだデビューしていない。
イントロの独創的で妖しげなギター和音のインパクトから既に只者ではない。
まるで、「こっち見ろよ」と言われてるようである。


構成の独創性からしても、これは一種の“ポップ・アート”感覚である。
PETEのオリジナル作品に対して-
そのルーツを「この楽曲が元」と簡単にいい難い場合も多いが、
彼が“アート・スクール”出身だという事を念頭に入れると見える事もある。
PETEの頭の中にあるのは“誰かの具体的作品”よりも“アイデア”であり、
楽曲の青写真〜BLUE PRINTの中に様々な要素をパッチワークのように織り込む様な-
ある意味コラージュ的要素も強い作風ゆえに独創性を生んでいる気がする。


こうした傾向は、当時の英国の〜様々なR&Bカヴァーをするバンド台頭の中で〜
より独創的な切り口を模索して“他バンドとの違いを呈示する事”が重要だった
音楽シーンや時代背景も関係してくる問題であろう(この辺りは別記にて改めて)。


PETEのギターは更に“LEAD CHORD GUITARIST”として確立され、
特に間奏部分は〜「元祖サイケ/元祖ハード・ロック」と言ってもいいだろう。
と言うより、「当時の音楽セオリー完全無視」と言うのが正しいかも知れない。
メランコリーなスパニッシュ感覚も漂う和音創りに-伝説のフィードバック。
よく聴くと、間奏には「メロディーが無い」という事実に気付く。
何というパンクさであろう。
そこにあるのは「新しい“音の可能性の呈示”」だ。
ゲストのNICKY HOPKINS(*1)のピアノが-かろうじてR&B色を出しているが、
これは、もはや〜“THE WHO EXPERIENCE”。
しかも-これだけなら只の前衛で終わるのだが、
PETEには〜キャッチーな楽曲も作れる才能がある。
ティーンエイジャーを掴むPOPさで耳を引き〜間奏で“驚くべき経験”をさせる。


つまり、冒頭に述べた“構築と破壊の同居”とはこういう事なのである。
POPである程〜異常が映え、異常である程〜POPが映える。
これらの共存、そしてコントラストの対比こそが〜THE WHOの大きな魅力だ(*2)。


 *


独創性が発揮されたのはPETE TOWNSHENDだけではない。
間奏でギターと共に、大変な事になっているのが〜KEITH MOONによるドラムだ。
後に我々がイメージする“KEITH MOONのドラム”が、既にここにある。
それ以前のドラミングもダイナミックではあるが、ここでは、
曲調と共にPETEのギターが「壊れてもいいんだよ」というスペースを与えてくれ、
ここでのKEITHは正に“水を得た魚”のようだ。
PETEのフィードバックやスウィッチングを屈指したギターにKEITHのタム炸裂で、
ここでの彼等のサウンドは〜簡単に言うと、相当ヤバイ。
しかも〜その後すぐにPOPなメロディーに戻る“ねじれ感覚”も凄い。
更にラスト部分のタメの効いた昂揚感溢れる構成も見事で、
この1曲でTHE WHOは完全に他のバンドとの“違い”を見せつけたと思える。
これはもはやKINKSの亜流では絶対に無く、BEATLESやSTONESとも違う。
と言うより-WHOが彼等のライバルとして認知される要素を呈示した楽曲とも言えよう。


「どんな道でも、どうやっても、どこでも、オレはやっていけるんだ。」
という〜モッズにアピールする歌詞(珍しくROGER DALTREYが書いている)にあるように、
この曲はTHE WHOを象徴する作品のひとつであり、
間奏のフィードバック部は〜その道のりを表現しているかのようだ。
(つまり、いろんなexperienceがあるというような…)


 *


2004年7月-THE WHOの日本初公演において、この作品は3曲目演奏された。
オリジナルより全体にタメの効いた仕上がりで、'70年代以降の傾向の延長上にあった。


参考に-この作品は「I Can't Explain」と共にDAVID BOWIEのアルバム『PINUPS』にて
カヴァーされている。BOWIEは'60年代不遇ではあったがWHOと同期で、後に接点も多い。


さらに蛇足だが、数年前に奥田民生がプロデュースしたPUFFYの最大のヒット・シングル
これが私の生きる道」のイントロは〜この曲の引用では?アルバム曲には更に大胆な物も。





 (オリジナル・アルバム未収録。『MY GENERATION』-CD Delax Edition BONUS-別mix-収録。
 『MEATY BEATY BIG AND BOUNCY』等BEST ALBUM収録。『THEN AND NOW』未収録。)




 *関連名詞日本語表記*
 (英語翻訳ソフトウェアが使用される場合、意図表現が正確に行なわれる見込みは半分未満です。それを考慮に入れてください。)
 ザ・フー ピート・タウンゼント キース・ムーン ロジャー・ダルトリー ジミ・ヘンドリックス
 キンクス ニッキー・ホプキンス ビートルズ ローリング・ストーンズ デヴィッド・ボウイ

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 *Note*
 (*1)〜(*2) → “もっと Explain”(近日予定)


 〜この書込み内容は後日所定コーナーに移動する予定であり、現在暫定的にここに掲載されているものです。