fabzweb2004-12-03



魁!!クロマティ高校
 (SAKIGAKE!! CROMATIE HIGH SCHOOL) (さきがけ!くろまてぃこうこう) (さきがけくろまてぃこうこう) (クロ高)


パンク崩れやオタク全盛の21世紀初頭日本の娯楽シーンから登場した〜シニカル・マンガ。
その翳りあるキャラクターとひねりの効いた思想が魅力で〜現在も感動学園漫画の片鱗も見せない。


人気誌『少年マガジン』掲載中であり、「読み飛ばすマンガ」アンケート1位を独走する強力Push作。
しかし単行本は売れ続け、無謀にもTV化/映画化(制作中)と展開を見せる〜小学生に理解不能の名作だ。


不良マンガにも係わらずツッパリ達はケンカもせず、学園マンガなのに授業も恋愛も青春もしない。
人気漫画の鉄則であるこれら要素が欠落しているのみでなく、安直“エロ”や“根性”も拒絶している。
まず〜なにしろ、女のコが殆ど出てこないのだから恋愛も青春もエロも成立しないのである。
もちろん、“萌え”も出来ない。


では何があるのか?
そこには、「ナンセンス」、「脱線」、「反則」の応酬が…待っているのだ。


 *
とある不良高校に入学してしまった主人公・神山が、すさんだ校内風気の改善を目指し立ち上がり、
そして飲まれ-初心を忘れるまでの物語。今や殆どのエピソードで主人公不在という“反則”ぶりだ。


「では一体、主人公不在でどうして成り立つのだ?!」
との声も挙がろうが、主人公・神山の前には〜強力な友人/ライバルのキャラが立ち塞がっているのだ。
ネタバレしないため多くを語れないのが残念だが、
林田、竹之内、Net番長藤本、アジシオ太郎など…人生に悩みを持った(持つべき)才人目白押しなのだ。
ギャグと不条理万載の彼らは、悲しい事に自分でそれに気付けないのだ。


また、強力なオチ、そして壮絶ないくつかの“反則”の前に見逃されがちだが、
そこに辿り着くまでの本編の流れには〜
時に大人をも唸らせる通論への疑問や概念の危うさ、世論やメディアへの批判等が痛烈に呈示される事
も多く、心のゆとりが無いと〜見逃してしまったり、意図を理解出来ない場合も多いだろう。


しかし、それらに思わず膝を打つ大人達も、その本編の流れを覆す程の“反則”やオチの前に、
せっかく築き上げた世界を〜根底から覆されるのである。


作者・野中英次の世界観が色濃く出た〜無情感に包まれたナンセンス・コメディと言えよう。


 *
その内容は小学生やアニメ・オタク向きでは到底無く、万人におすすめ出来るものでもない。
むしろ、日頃マンガを読まないHIPな人々に〜より多く支持されているものと思われる。
視点が違う…違い過ぎるのだ。
ここにあるのは、“常識を熟知した上での非常識”である。
そしてその逆も、また然り…なのだから恐い。“常識的変人”が一番タチが悪い。
作者・野中英次は〜日本の日和見的なお笑い/マンガの世界や通論が「大嫌い」である模様であり、
そういう視点を持ち得る方や〜見解や度量の自由度の高い人にこそオススメしたい。
最初は疑ってかかってもらって構わない。そして気が付くと毒にハマッている自分に気付くだろう。
なんかタルくてイヤな筈なのに“見ている自分”を“客観”して欲しい。
それはまるで、ゲーム・ソフトの世界に於いての『MYST』『RIVEN』、
または〜洋楽マニアにとってのキリンジ奥田民生、といった捉え方に近いものかも知れない。


しかし何故か、Mr.Childrenがリスペクトしており、北島三郎と間違えられるのである。無情だ。


参考までに、当Sightの首謀者はこの作品からNet上のトラブルの多くを既に学んでおり、
ここを構築していく上で…更に“こころざし”の面で、人生に多大な影響を受けている。
…はずなど無い。




とにかく、「我こそは下らない人間だ」という方や、
帝王学”や〜“まくら道”を学びたい方、
そして日頃Net上で〜心がすさみがちな方は、
是非、単行本にて第1巻から、朝の満員電車の中で-ひとりでお読みになる事をお薦めしたい。


責任はとれない。




  *関連/オススメArtists* クイーンQUEEN キッスKISS メカ沢くん フレディ マスクド竹之内 ゴリラ 北斗の弟子 etc.
Amazon(野中英次)



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