fabzweb2004-12-02



ELVIS COSTELLO エルヴィス・コステロ
 (Elvis Costello & The Attractions) (える坼ぃす・こすてろ) (えるびす・こすてろ) (える坼ぃすこすてろ)


パンク・シーン全盛の'70年代後期イギリスのロック・シーンから登場したシニカル・マン
その翳りあるVocalとひねりの効いたSongwritingが魅力で-現在も絶大な支持を集めている。


“現代のJOHN LENNON”と称される存在ではあったが、後に実際にPAUL McCARTNEYとの
共演を果たすなど序々に大物の風格を漂わせ、Rockはもとより-Jazz/Classic/そして映画
『ノッティング・ヒルの恋人』主題歌「SHE」でのPopular Vocal的アプローチなど、その
活動フィールドは多岐に及んでいる(日本ではチャップリン楽曲「SMILE」リメイクも有名)。
同期Paul Wellerと共に-パンク時代出身ながら息の長い活躍ぶりも印象的なアーティストだ。


'77年-BRINSLEY SCHWARZ/ROCKPILEでの活動でも知られるNICK LOWE制作のもとデビュー。
因みにELVIS COSTELLOは芸名-あのELVISと母の旧姓が由来(本名Declan Patrick McManus)。
ファースト・アルバム『MY AIM IS TRUE』は'80年代人気を博したHUEY LEWIS&THE NEWS
のメンバーが演奏を務めている事でも有名。中でもSingle Cutされた名バラード「ALISON
の完成度は大きな話題となり、現在でも彼の代表曲のひとつとして挙げられるほどだ。


人気上昇の為-自身のバンドATTRACTIONSを結成し第二作『THIS YEAR'S MODEL』を発表。
ここではパンク色濃かったのだが、続く『ARMED FORCES』では「OLIVER'S ARMY」に代表
されるPOP色が加わり、更に『GET HAPPY!』('80)は'60's R&B感覚溢れる躍動感とひと捻り
したサウンドを確立。NICK LOWEや彼のROCKPILE仲間DAVE EDMANDS、SQUEEZEらと並び-
パンク全盛英国にて、New Waveともひとあじ違う“ひねくれPOP感覚Rock”を展開した。
(日本では相称し“Pub Rock”と言われる事が多いが、当人達にとっては失礼なので注意)


'80年代COSTELLOはカントリー・アルバムやアメリカ南部ミュージシャンらとの作品など
話題作が多いのだが、まずは『PUNCH THE CLOCK』('83)は避けて通れないであろう。
本人は“満足いかない”との弁もあるようだが、大ヒット「EVERYDAY I WRITE THE BOOK」
を含む多彩な楽曲ぶりは、やはり彼の代表作として挙げられるべきものだと思える。


また〜参考に、この頃の他作品の-ここ日本の有名評論家達の評価は当てにならない。
名作『IMPERIAL BEDROOM』('82)や『BLOOD & CHOCOLATE』('86)が“小粒”だの“雑”
だので済まされるのは納得いかないので、海外での評価を参照される事をお薦めしたい。
楽曲の出来という面で-これら2作はCOSTELLOを語る上で不可欠な作品と私には思える故だ。
ただし、おかげで中古盤は比較的安値で入手出来るという利点もあるのだが(笑)。


 *
多少のブランクの後、'89年-ELVIS COSTELLOは大手WARNERと契約し新たな時代を迎える。
移籍第1作『SPIKE』は、先のPAUL McCARTNEYとの共作/共演「VERONICA」を含む話題作。
日本では近年何故か朝のオクサマ番組テーマ曲としても使われたマダム・キラー作(笑)。
このアルバムは日本の一般評価では-“王道盤”というのが通論かも知れないが、聴けば判る
通り-TOM WAITSバンドのメンバーやNew Orleans R&Bの才人ALLEN TOUSSAINTらの
参加による異色作/実験作も多く含まれるので、実はビギナー向きと言い難いかも知れない。


WARNER時代も弦楽四重奏との共演盤やカヴァー盤など多彩なアルバムを残した彼だが、
1番のオススメは、『SPIKE』に続く『MIGHTY LIKE A ROSE』('91)であろうか。
ここでの作品は-初期のいくつかのキャッチーな作風と『SPIKE』の豪華なProductionが
幸せな融合を果たし、聴き易さと共に-そのアーティスト性を端的に現した1枚となって
いるように思える。その“切り口”という面でもこの時期を代表するアルバムであろう。


BRIAN WILSON的Chorusの「THE OTHER SIDE OF SUMMER」は-しかし同時に-どこまでも
“COSTELLO節”と言える展開を見せるし、「HARPIES BIZARRE」は-タイトルからして-
かつてWARNERが'60年代末に送り出した“Burbank Sound”への憧憬を暗示している(*)。
そして再びのMcCARTNEYとの共作「SO LIKE CANDY」。「VERONICA」が“陽”ならば-
「SO LIKE CANDY」は“影”…見事に陰影の効いた芸術的Rock Balladとなっている。
短絡的に“JohnがINでPaulがOUT”などと言いがちな人の愚かさをCOSTELLOは知って
いるのだろう。ちなみに、McCARTNEYとの共作は-彼の方のレコードにも残されている。


 *
以降、COSTELLOは、'90年代末にUNIVERSAL系列と契約を結び、Rockに限らず様々な作品
を思うままリリース出来る立場となった。McCARTNEYに続く大物とのコラボレイションと
して話題となった-BURT BACHARACHとの『PAINTED FROM MEMORY』('98)を始め、冒頭
で触れた「SHE」の大ヒットを経て、Jazzやバレエ音楽など-今や“何でもアリ”状態である。
また一方で、バカラックと共に映画『オースティン・パワーズ』の第二作に登場したり、
やはり冒頭で触れた「SMILE」の日本独自のヒット(TVドラマ主題歌)なども印象的だ。


最新作は『THE DELIVERY MAN』(2004)。再びアメリカ南部サウウンド的アプローチを見せ
ている模様で、彼の音楽探究の旅はまだまだ続くようで頼もしい。今月来日公演も果たす。


正直、クセのあるアーティストではある。ひねくれメロディーのオン・パレードである。
しかし、それがまた癖となれば“やみつき”になる事うけあいの魅力を持った存在だ。
今や折り紙つきの“ビートルズの影”はもちろん、日本では-古くはボウイ、佐野元春
から-現代のMr.Childrenを始めとする人達まで多大な影響を与えたそのSongwritingは、
是非一度、検証の価値あるものであるという点は間違いないであろう。




(・多作家のELVIS COSTELLOゆえ、今回のProfileは-“お勧めのアルバム”を軸に書いてみました。)


(*)“Burbank Sound”…ハリウッドにあるWARNER所有Studioの所在地からそう呼ばれた。代表格がHARPERS BIZARREというソフト・ロック系Band。
ブライアン・ウィルソンの『SMiLE』共作パートナーであり-はっぴいえんど関連でも知られるヴァン・ダイク・パークスらが制作に関わっていた。


 *関連/オススメArtists* ジョン・レノン ポール・マッカートニー ニック・ロウ デイヴ・エドモンズ
 トム・ウェイツ ボブ・ディラン ジョー・ジャクソン バート・バカラック ポール・ウェラー
 レニー・クラヴィッツ スティーリー・ダン ボウイ 佐野元春 Mr.Children キリンジ etc.


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