fabzweb2004-12-01



The Isley Brothers アイズレー・ブラザーズ
 (アイズレー・ブラザース) (ジ・アイズリー・ブラザーズ) (あいずれー・ぶらざーず) (あいずれーぶらざーす)


R&Bの歴史を語る時、この偉大なる兄弟について語られていない全ての文章は-
“まやかし”であると言ってもいい。1950年代末から現代にかけて-幾度もの
ピークを迎えた彼らは、“ブラック・ミュージックのビートルズ”、もしくは-
それ以上の存在と言えるのだから。
なにしろ-彼らの歩みを辿れば、R&B史の一面が紐解ける程だからである。


 *
リード・ヴォーカルのRONALD ISLEYを中心に-O'KELLY、RUDOLPHとのトリオに
よるヴォーカル・グループとして-1950年代に彼らは音楽シーンに登場した。
彼らの初期のヒット「SHOUT」('59)、「TWIST & SHOUT」('62)は-“ツイスト”
に代表される歴史的ダンス・ブームの代表格として語られるものであり、特に後者は
あのビートルズにも取り上げられた事により〜白人層にもISLEY BROTHERSの名前は
大きく認知される事となった。


'60年代中期のISLEYSは、よりExcitingなR&Bを目指し革新的ダンス・サウンド
探究を繰り広げた。この時期バンドにあのJIMI HENDRIXが在籍していた事でも有名。


'66年、ISLEYSの白人層も含む知名度の高さに着眼してか-Tamula/Motownレーベル
がISLEYSと契約。「THIS OLD HEART OF MINE」の大ヒットを生む。


 *
'69年にTamula/Motownを離れた彼らは、自身のレーベルT-NECKから強力Funkナン
バー「IT'S YOUR THING」を発表。折りからの“ブラック・パワー”推進の流れの
中〜全米2位という彼らのシングル最大のヒットを記録し、一躍〜JAMES BROWN,
SLY & THE FAMILY STONEらと並び〜一種オピニオン・リーダー的存在となった。
以降のISLEYSは-、RONALDを中心とした3人に加え、バンドにERNIE(g),MARVIN(b)
という下の兄弟、そして従兄弟のCHRIS JASPER(key)というファミリー・バンド形態
としてのサウンド志向が高まり、独自のFunkを生み出していく。


'70年の『GET INTO SOMETHING』あたりでは“ブラック・ロック”的側面を展開、
'71年の『GIVIN' IT UP』では当時の白人Singer Song Writerの楽曲をアコース
ティック・ファンクに仕上げるなど〜独創的野心作を連発した。後者はBOB DYLAN
NEIL YOUNGJAMES TAYLORらの作品も含まれ、更にあのC,S,N&Yで知られる
STEPHEN STILLSの「LOVE THE ONE YOU'RE WITH」が大ヒットとなった。
'72年の『BROTHER BROTHER BROTHER』では盟友CURTIS MAYFIELDにも通じる
しなやかな“ニュー・ソウル”感覚も加味し、CAROLE KING作品等と共に、数々の
カヴァーでも有名な「WORK TO DO」等をヒットさせ人気を確立した。


 *
ここまでの10数年でも凄いのだが、本当にISLEYSが凄いのはこれからだ。


自身のレーベルT-NECKの配給を米CBSレーベルに移し、STEVIE WONDER作品
でも知られるマルコム・セシルとロバート・マーゴレフという白人のシンセ・オ
ペレーター/エンジニアを迎え〜'73年の多彩な名盤『3+3』を発表。
大ヒットした「THAT LADY」や〜SEALS & CROFTS作品「SUMMER BREZZE」
などのジミヘンばりのギター付きR&B、JAMES TAYLOR作品「DON'T LET ME
BE LONELY TONIGHT」でのモダンなアコースティック・ブルース調、更に後の
サンプリング大ネタ名作「THE HIGHWAYS OF MY LIFE」でのISLEYS印メロウ
・グルーヴの確立など-非常にヴァラエティ性溢れる大ヒット作となった。
日本では「IF YOU WERE THERE」が大滝詠一Produceによる山下達郎在籍の
名Bandシュガー・ベイブ作品「DOWNTOWN」の下敷となった事でも有名だ。


以降のISLEYSは70年代を通しR&BのTop Groupとして君臨し、格差はあるが-
基本的に『3+3』の多彩さを持続したアルバムを発表し続けた。


主な作品のみ挙げると、ハード系は「FIGHT THE POWER」(PUBLIC ENEMY
リメイク)、ポップ系「HARVEST FOR THE WORLD」、メロウ系は数々のサン
プリングで有名な「FOR THE LOVE OF YOU」に「FOOTSTEP IN THE DARK」、
そしてアリーヤがリメイクした「AT YOUR BEST YOU ARE LOVE」等がある。


'80年代に入り“元祖打込R&B”としてMARVIN GAYE「SEXUAL HEALING」と
並ぶ「BETWEEN THE SHEETS」を発表するが、この後CBSレーベルの画策で
若手Band組のERNIE,MARVIN,CHRISが分裂してしまう。
以降-本家Front組がTHE ISLEY BROTHERSとして「SMOOTH SAILIN'」等を、
若手Band組がISLEY,JESPER,ISLEYとして「CARAVAN OF LOVE」等を放つが、
'70年代を思うと残念な'80年代となった。


しかし'90年代になってHip Hop等の前記サンプリングなどでISLEYS再評価が
高まり、遂に'96年『MISSION TO PLEASE』で復活を遂げる事となった。
RONALD、MARVIN、そしてERNIE ISLEYが集まり、彼らを師と仰ぐR.KELLY
らによって制作されたこの大ヒット作によって、ISLEYS MANNERが現代にも
充分アピールする事が証明された訳である。
更にここからのISLEYSは、Total Produceをしながらも曲創りをTrackmaker
に委ねるという現代R&B Vocalのひとつのパターンにした事により、客観的に
“'70's ISLEYS的”にしたり新味にしたりという〜自由度が増したという利点
も挙げられるであろう。
続く2001年の『ETERNAL』はR.KELLYに加えジャム&ルイス、ラファエル・
サディークを迎え全米3位(ここからRONALD&ERNIE)、そして遂に2003年の
『BODY KISS』では1曲を除きR.KELLY全面Produceで何と全米No.1のヒット
を記録するに至った。'76年『FIGHT THE POWER』以来のNo.1という快挙だ。
こんな凄いキャリアを残すアーティストは、二度と現れないであろう。


 *
アイズレー作品は様々な表情を持つものがあるので、その全てを好きな人は
意外と少ないかも知れない。そして、ある意味それでもいいのである。
ハードな物が好きな人も、メロウ系が好きな人も、ポップ系が好きな人も、
'70年代初期が好きな人も、Hip Hop等のサンプリングから入った人も....
それぞれのISLEYSを楽しめばいいのである。



最新作は...準最新作といった趣のものが2作品。
RONALDがバカラックと組んだ2003年末発表の異色のヴォーカル・アルバム
『HERE I AM:RON ISLEY SINGS BURT BACHARACH』。
そして'70年代ISLEYS作品の-THE ROOTSの?uest love、RAPHAEL SADIQ、
MOS DEFらによるRe-Mixアルバム『TAKEN TO THE NEXT PHASE』(2004)。




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 *関連/オススメArtists* カーティス・メイフィールド スライ&ザ・ファミリーストーン ジェームス・ブラウン
 ジミ・ヘンドリックス スティーヴィー・ワンダー BILL WITHERS AVERAGE WHITE BAND MAIN INGRENDIENT MAZE R・ケリー 山下達郎 シュガー・ベイブ スガシカオ キリンジ etc.


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 (今回のISLEYS Profile原文は膨大量となった為、急遽短縮編集版とさせて頂きました。文章的におかしい部分等ございましたらご指摘下さい。)