fabzweb2004-11-30



Paul Weller ポール・ウェラー
 (ザ・ジャム) (The Jam) (スタイル・カウンシル) (The Style Council) (ぽーる・うぇらー) (ぽーるうぇらー)


'70年代のTHE JAM、'80年代のTHE STYLE COUNCIL、そして'90年代以降のソロとして〜
という異なる3つの活動ピークを記録した稀な存在。今や英国Rockの重鎮。
そのルックスの良さに依存しない男気溢れる主張/サウンドは〜正に“Mods精神”の鑑。


 *
THE JAMは'70年代末イギリスの“パンク・ブーム”の中'77年『IN THE CITY』でデビュー。
他の多くのパンク勢と違い〜過去のRockを否定するのでは無く、THE WHOやSMALL FACES,
KINKS等の影響に根ざした〜音楽面/及び“志し”の面で芯の通った作品創りなのが特徴。
“初期衝動”を売りにする為の演出された“純粋さ/稚拙さ”などとは無縁の誠実な作品を
作り続け、短命だったパンク・ブームに飲まれず〜現在でも鑑賞に耐える多くの名曲を残
した。これも元々Paul Wellerは“Punks”というより“Neo Mods”である為のこだわり故、
「ただ騒ぎ不満を叫ぶ」のでは無く-「批評性」や「信念」を作品に込めた違いであろう。
モータウンR&B的「THE TOWN CALLED MALICE」や繊細なバラード小品「ENGLISH ROSE」
等は〜パンクの概念で限定しては勿体無い名曲であろう。


 *
'80年代初頭に人気絶頂のまま潔くTHE JAMを解散させたWellerは、'83年にMick Talbotと
共にTHE STYLE COUNCILを結成し「SPEAK LIKE A CHILD」でデビュー。
THE JAM後期に顕著になって来たR&B志向を前面に出し、Beat tuneに限らず-Bossa Nova
Jazz,French風味も生かし〜スタイリッシュなサウンドで人気を集めた。
THE JAMを求め続けるファンの一部からは“オシャレ志向”との非難もあったが、「WALLS
COME TUMBLING DOWN」等のTHE JAM時代を連想させる作品もあり、“楽曲の幅が拡がった”
との解釈が適切であろう。何しろ“様式評議会”という-いかにもMods的切り口なのだから。
その成果もあってか、当時は米国進出も行い「MY EVER CHANGING MOODS」をHitさせたり、
ここ日本でもTHE JAM時代より遥かに幅広い層の人気を獲得するに至った。


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そして'90年代に入り、Paul Wellerは再びRockサウンドを鳴らし始めた。もっとも-それは、
THE JAM時代より遥かに骨太でDown-to-earthなものとなった。それはTHE STYLE COUNCIL
時代を通し様々な音楽要素を経ての成果と言えるものであろう。英国の伝統的Rockの形態で
はあるが、要所要所に垣間見れる引き出しの豊かさが-さりげなくも懐の深さを物語っている。
'91年PAUL WELLER MOVEMENTとしてのシングル「INTO TOMORROW」、そして'92年アル
バム『PAUL WELLER』においては多少THE STYLE COUNCIL時代のクラブ感覚に近い傾向も
あるが、'93年の『WILD WOOD』における本格的ロック・サウンドは大きな話題となった。
'70年代初頭英国ロック最盛期に通じるSwamp Rock(米国南部的ロック)志向が顕著であり、
特にシングル「SUNFLOWER」は英国ロック・シーンに残る名曲となるかも知れない。


続く'95年『STANLEY ROAD』はOASISSTEVE WINWOODらの参加やBEATLESテイスト等
の話題性もあり〜何と年間を通し英国チャートの上位に居座る結果となり、Wellerの長い
キャリアの中でも最大のHit作品となった。
以降も〜最高傑作との声も高い'97年の『HEAVY SOUL』など-誠実な作品を次々発表して
おり、質/人気共に〜英国ロックを代表する存在のひとりであると言えよう。




また、自身のルーツである作品のカヴァーを多く残している事により、Wellerをきっかけ
として音楽を聴く幅が拡がった人も多い。そうした点でも見えない功績は大きいだろう。
(主な例としては-THE WHO,KINKS,CURTIS MAYFIELD,CHI-LITES,TRAFFIC,DR.JOHNなど)


今年-2004年には久々に来日しザ・フーと共に“Rock Odyssey”フェスティヴァルに出演、
“2大Modsスター共演”として話題を集めた。
最新作は-初の全曲カヴァー・アルバム『STUDIO 150』(Sep.,2004.)
ここからまた〜GIL SCOTT HERON、AARON NEVILLE、はたまたバカラックなどへと
興味を拡げるリスナーも多い事であろう。
そんな点でも、Paul Wellerは正に“Mods精神”の鑑である。




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