◆ザ・コレクターズ:Album Guide (叩き台Base編) -1st/2nd
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◆1st『僕はコレクター』('87) ◇ポピュラー度 ★★★★ ◆MANIA度 ★★★★ ◇LOVE度 ★★★☆ ◆BEAT度 ★★★★★ ◇My オススメ度 ★★★★ (TECI-1063)=紙ジャケット/Bonus Track付再発盤 ネオMods/GSからCultに登場したBeat満載デビュー作! 随所に散りばめたSweetメロディも原石の輝き。 記念すべきデビュー作は、多彩なザ・コレクターズも〜基本は何よりまず“ただ者でないビート・バンドなんだ”という事を確認させてくれる強力ナンバーのオンパレードだ。 彼らの“ただ者でない”様は、今もステージを飾る怪しげな最強ギター・ロック「僕はコレクター」を聴けば判る。後にメジャーな展開を成功させた彼らも〜この曲に現れているカルトな世界観が元々の原動力であり、その視点のストレンジな魅力は〜形を変えても最新作にも根底に流れるものである。 つまり…“カルトかつポップ”。この両立の凄さが〜並の邦楽バンドとの決定的な違いだろう。 邦楽バンドに夢中になっている人達の多くは、冷静になれたとしたら身も蓋もない貧祖なメロディにも“夢中でいたい”のが実状だ。勿論優れた世界の洋楽など聴いていないだろう。しかしコレクターズが冷静に聴いても凄いのは…まず何より加藤ひさしによる楽曲のクオリティの高さが最大の要因である。 試しにこのデビュー作を聴いてみて欲しい。このレベルに達する邦楽バンドはひと握りであろうし、彼らはこのレベル以上を18年持続しているのが驚異的なのだ。更に言うなら、この作品ですら彼らの最高傑作でもない。それに、どうせ夢中になるとしても…十年後でも恥ずかしくない音楽に触れていた方が絶対にいいに決まっている。何しろこれは、1987年の作品である。 歌詞の面において顕著だが、加藤ひさしの作品には多くの“僕”や“〜MAN”が登場する。しかも初期作品の多くは、少年時代の“僕”や…“君によく似た〜MAN”だったりする。こんなアーティストを他に知らないだろうか?そう、ビートルズである。コレクターズ作品の魅力は〜ビートルズをはじめとするルーツが身となったしっかりした基盤のソングライティングに負う点が大きい。多くのアイドル・バンドが『ライバルはビートルズ』とあっけらかんと言い放ち笑わせてくれるが、コレクターズなら〜もしビートルズやエルヴィス・コステロをライバル視しても異存は無い。それだけの作品を初期の段階から多く残しているからだ。 『楽曲自体の優れたロック・バンド』という点で…彼らは間違いなく邦楽の最高峰だ。そうでも無ければ、洋楽ライター/ディレクターとして数々の名作をCD再発して来た僕がこれほどプッシュする筈など無いのだから(あえて地味にここだけでカミング・アウト)。 話を戻そう。 本作の魅力のベースは、やはり'60's UK Rock/ネオ・モッズ/パンクを経て彼らが体感したビート感であろう。「僕はコレクター」の他にも、ジャムやクラッシュ的感覚に溢れる「1・2・3・4・5・6・7 DAYS A WEEK」や「ロボット工場」、モッズの溺愛したモータウン・ビートが弾ける「プ・ラ・モ・デ・ル」やパブ・ロック派にも薦めたい「僕の時間機械」など、歌詞の世界観も含めて、今や“ビート・クラシック”と呼んで差し支えないものであり、海外においても、本家英国モッズにも評価されるものでもある(参考)。 そして彼らは一方で、'87年当時の日本において〜ネオ・モッズ以上にブームとなったネオGSの流れにコレクターズは括られる事となり、それらを視野に置いて作られたかも知れない甘いメロディの「TOO MUCH ROMANTIC!」や「夢みる君と僕」が本作のアクセントとなり、より多くのファンにアピールすることになったとも言えよう。 客観すると…ネオ・モッズがネオGSに括られるのは心中どうかとも思うのだが、結果的にこうしたタイプの歌謡ロック要素を含むラブ・ソングが後の魅力の一端となったという点は大きいはずだ。事実、リアルタイムのファンに今も大いに支持されている2曲だ。 本作に影響を受けたミュージシャンも多く、ザ・ピロウズ、BRAHMAN、HUSKING BEE、會田茂一(FOE/EL-MALO/堂島孝平GGKR)、(Hi-STANDARD)、堀江博久(Neil&Iraiza)らがカヴァー(参考)しているのをはじめ、後にコレクターズをプロデュースする事にもなる伊藤銀次も「僕は恐竜」をカヴァーするなど、先輩後輩問わず〜The Collectorsという名前を刻み込んだ、名実共に記念碑的作品と言えよう。 (加筆準備中です。) ジャム ポール・ウェラー クラッシュ エルヴィス・コステロ ビートルズ ザ・フー キンクス ◎コメント(再発盤帯より): The Pillows …『僕を育てた栄養』 ☆参考:HMV/Amazon(新)/Amazon(旧) |
◆2nd『虹色サーカス団』('88) ◇ポピュラー度 ★★★★ ◆MANIA度 ★★★★☆ ◇LOVE度 ★★★ ◆BEAT度 ★★★★ ◇My オススメ度 ★★★★★ (TECI-1064)=紙ジャケット/Bonus Track付再発盤 軽快Guiter Pop全開の2nd。ガレージ系〜Popサイケまで、 コアかつメロディアスに!初期を代表するカラフル作。 “サーカス”。この2ndアルバムから4作目までのコレクターズを表現するのに最も適切な言葉が“サーカス”かも知れない。そしてそれはもちろん“ロックンロール・サーカス”である。 ジャケットからも判るように〜デビュー作のモノクロな世界から一転、カラフルな総天然色…いや極彩色と言える音楽きちがいのカルトな世界が全編に拡がっている。2作目にして早くものセルフ・プロデュース作品であり、同様に音楽きちがいのピチカート・ファイヴの高浪敬太郎のアレンジ参加を得て贈る音楽玉手箱だ。 それはまさに“サーカス”であり、本作の出し物は…とびきりのサイケデリック感覚溢れる万華鏡を覗き込むような極上ビート・ポップス。 “ポップス”と言ってもこれは“人畜無害ポップス”ではなく、あくまで“ポップスの甘い毒”を求める人にはたまらない類いのアルバムだ。思いきり毒にかかって欲しい。一生モノの“甘い毒”がここにはあるのだから。 “サーカス”をモチーフにした映画作家にフェリーニというイタリアの才人がいるが、本作での手法はそのフェリーニの感覚に近い。それは…非日常的な夢の世界である“サーカス”と、現実の日常的世界の対比であり、行き来するこのふたつの世界を…非常に映像的に捉えた描写が素晴らしい。“POP”という言葉の本来の意味を現したようなこの奇妙な世界は〜ロックンロール・フリークスなら大好きに違いない類いの“サーカス”である。 ストーリーテラーとしての飛躍を感じさせる本作は、ある意味“モラトリアム世代の為のコンセプト・アルバム”という趣きがある。ストレンジなまぼろしの世界の…幻覚、妄想、“架空のようで君によく似た物語”の数々。 そして…からっぽで救われないはみだしもの。出来そこないの〜現実で道化を演じるピエロ。空想科学で宇宙を夢見て、ブリキの兵隊は戦場に送られ、果ては未来世界を覗き込む…。 極上の“ぺてん師”加藤ひさしによる、“架空の虹色きちがいサーカス団”をこころゆくまで堪能して欲しい。2作目にして早くも〜もはやモッズ/ネオGSという括りすら不要の、完全な“コレクターズ・サーカス”のはじまりである。 冒頭を飾る〜ザ・フーを彷彿とさせるダイナミックな「カーニバルがやってくる」は、ロックをひとつの青春時代のよりどころとして過ごした“すべての若き野郎ども”に聴いて欲しい名曲だ。これが嫌いならあなたの聴いて来たものはロックでは無い。“カーニバル=サーカス”を待つ意味、夢、希望、やりきれなさ、失ってしまったもの、持ち続けているもの…。 甘えた理想主義など中身が伴わなければポーズで終わる事を告発したこの曲を聴いて、程度の低い“日本語ロックを論ずる事自体に群れ酔う行為”に背を向け〜みんな早くハッとして目を覚まして欲しい。これがモッズ精神だよ。(参考-[1]/[2]) タイトル曲「虹色サーカス団」はコレクターズの資質を現す“カルトかつポップ”な名曲。どこか歪んだ理想郷ぶりは〜ビートルズのサイケ時代の隔世遺伝とも言える完成度の高さであり、女のコや小学生でも笑顔で口ずさめるような魅力あるパイドパイパーぶりを見事に現している。 技巧を凝らしたソングライティングを3分に凝縮した初シングル曲「太陽はひとりぼっち」や、60年代のビート・グループがラウドなサイケ感覚を導入した当時の微妙な感覚を見事に現したヤンチャな「魔法のランプ」など、このアルバムにおける古市コータローのギター・ワークの飛躍は驚異的であり、黄金時代のブリティッシュ・ロックでもアルバム通してこれだけ意欲的な音が鳴り続ける作品を探すのは困難かも知れない。詞曲だけでは無く、サウンド面でも様々な優れた音楽要素を吸収した“コレクターぶり”を発揮した名盤であると言えよう。 繊細な魅力溢れるバラード「10月のたそがれた海」「扉をたたいて」や、完成度高いメロディが舞いまくる〜すべてのティーンエイジャー道化師に捧げたかのような名曲「青と黄色のピエロ」、そして大作「2065」も控えている。恐ろしい完成度の高さだ。 コメントを寄せているスピッツの作品好きの人も必ず聴くべき作品だろう。草野マサムネがせっかくの“機会”を与えてくれたのだから。その意味は…聴けば判るはず。スピッツがスピッツになれた所以の多くは、初期コレクターズの存在が大きい。 相当にトンガった作品であるが、そうしたカルトな要素やシュ−ルな世界をあくまでポップにメロディアスに展開しているのがこの作品の驚異的なところで、とんでもない事になっているのにキュートですらある表情を満面に浮かべている様は、まさに“サーカス”である。このへんのコレクターズ作品を聴いてしまえば…そのへんの表情の乏しい邦楽を簡単に誉める事の出来ない僕の気分もきっと判るはず。 フェリーニのある映画にこんなセリフがある。 『人生は祭だ。供に生きよう。』 本作は、このセリフそのままの名盤である。 ◎コメント(再発盤帯より): 草野マサムネ(スピッツ)…◎ 『コレクターズと出会った頃の俺はパンクかぶれの小僧だったから、ホント衝撃的でした!一曲ごとに映画一本観たくらいの充実感を味わえる、凄いアルバムです。』 ☆参考:HMV/Amazon(新)/Amazon(旧) |
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