◆コレクターズALBUMガイド加筆『COLLECTOR NUMBER 5』



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◆5th『Collector Number 5』/The Collectors *加筆分* (→全文掲載)


オープニングを飾る〜活きのいいビートとひねり感覚の効いた展開を見せる「おねがいホーキング博士の歌詞は、ある種の人々にとっては衝撃的。しかし真意を辿れば…根底の確かさ/鋭さは“after 9.11”の現代にこそ響いてしまうかも。シングル曲SEE-SAW「カメレオン・ダイナマイト」、そして傑作「ハレツするボク」など、コンパクトな中に美味しいメロディや技を惜しげもなく注ぎ込んだビート・ナンバーが多いのも本作のウリ。怪しげで痛快な「暗闇の男」なども展開部やサビのメロディは相当唸るものがある。
極めつけは〜「ロバになる前に」。アコースティックな柔らかさとビート感覚の対比、繊細で複雑なメロディ、そしてほのぼのしながらも痛切にシニカルな歌詞の〜“つづれおり”が実に見事。初期4作における“寓話的ストーリーテラーとしての加藤ひさし”を評価する人にとっては絶賛に値する隠れた名曲であると同時に、ザ・コレクターズ新時代を告げる普遍性を併せ持つ作品であろう。



普遍性という意味では、マージー・ビートのしなやかさや柔らかさを持つ「きみのステキな金時計」、そして後のコレクターズの“ラブ・ソングにおける普遍性とマニアックさの調和”のさきがけとも言える壮大な名バラード「あてのない船」なども才気溢れるところだ(バート・バカラックキリンジ好きにも薦めたい捻りぶりが見事)。
小西康陽氏とのコラボレートとして僕が最も印象的なのは「1991」。もっとも、これは小西氏側が得たものの方が大きいかも知れない。以降のピチカート・ファイヴは、こういうピリリとしたメッセージ色も含めた作品を〜時々不意に出すようになった気がする。
そしてラストの大作「ジェットパイロットの夢」は、初期BAIDISレーベル4作からの流れを更に一歩推し進めた名曲。ファンタジーや寓話的世界を繰り広げたそれまでの作品群を〜直後に“リアリティという見地”から俯瞰し客観した視点は、細野晴臣の名曲「はらいそ」にも通じる冴えを感じる。複雑な思いの入り交じった深みに溢れた、こうした甘さと苦さを同時に醸し出せるソングライターを、僕は…他の雰囲気だけの邦楽ロック・スター達と並列に置く事は決して出来ない。


前作に続き60分を超えるボリューム満点の本作は、ビート・ポップス名曲集という趣が強い。優れたメロディ満載の傑作である。ただし〜もしかしたらコレクターズ・ビギナーには少し伝わりにくい部分もある作品かも知れない。前作にも言える事なのだが、個人的には…制作過程においてもっと時間をかけ練られた形で仕上げられたなら〜間違いなく日本のロック史上トップ・クラスの名盤に成り得たと思える作品だからだ。あえて苦言を述べたが、それは“勿体ない”と思える程の楽曲自体の出来の良さ故である。
前作では曲によりメロディのキレぶりにアレンジが追いつかず多少練りきれていないものがあり、本作ではプロダクション段階の早急さか多少同傾向の作品が続く印象がある。ここまで多くの曲数やアイデアのサービスしなくとも、曲数減らして1曲ごと名曲ぶりを威張るくらいでもいい名曲があっけらかんと並んでいるのが…ある意味勿体ないのだ(そういう意味でも初期のエルヴィス・コステロ的)。ビギナーの方は、多少他のコレクターズ作品を聴かれた上で本作に触れられたら〜その良さが的確に伝わると思うし、既にお持ちの方は前作や本作の曲順等変えて聴いてみると新たな発見があるかも知れない。
ただし、多分ここに述べた事はメンバー自身が当時の段階で客観視出来た事に違いない。何故なら…次作『UFO CLUV』は、上記の内容を踏まえたかのような名盤となっていたからだ。



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