■オマー



オマー Omar
 『MUSIC』
 ('92/TALKIN' LOUD)

代のR&Bシーンに於いて…歴史に名を残すべき意義深い存在の
アーティストを挙げるとしたら、僕はまず〜誰よりもオマーを推すことでしょう。
没個性を美とする様な現代のR&Bシーンにおいて、彼の創り出す“我が道サウンド”の独創
/独走ぶりは本当に凄い事だと思います。ACID JAZZやNEW CLASSIC SOULなんて言葉や〜
その雰囲気でもてはやされたSTAR達が完全に消え去っても、きっと彼は残り続けている筈。
…何故なら、彼は本物だから。

この『MUSIC』は、デビュー作『NOTHING LIKE THIS』に続く第2弾ですが、前作アル
バム表題曲のあまりの突出ぶりから〜本作では全体のポテンシャルが飛躍的に向上したのが
印象的。TALKIN' LOUDレーベルからのリリースゆえか〜ストリート感/BEAT感が強く、
彼の作品で最も聴き易い印象がある。オマーと言えばSTEVIE WONDERの影響の濃さで語
られる事も多いですが、「Get To Know You Better」「Don't Sell Yourself Short」など
の和音やメロディ音階の選び方、妙なキーボード・フレーズ/シンセ・ベースライン等、
実にひねりが本格的であり、音像を含めたサウンド・デザイン的に正統なスティーヴィー伝承
者と呼べるもの。そして時に本家以上の冴えを見せてくれるのがオマー天才たる所以である。
一方で「Tasty Morsel」等のYMOなどに影響されたテクノ/ミニマル的要素を導入したFunk
感や「Your Loss,My Gain」の翳りある音像を携えた屈折ラテンも堪らない。タイトル曲や
「Who Chooses The Season」「Last Request」などのジャズやスタンダード感覚溢れる
メロディの魅力も忘れる事は出来ない。そしてそれら様々な素養を感じさせてくれる奥深さ
を〜あくまでポピュラーに展開出来るという事自体…才能が無ければ出来ない事であろう。

この作品を聴き、そのSTEVIE自身が「大きくなったら〜オマーの様になりたい」と語った
そうですが、この言葉に頷けるまで聴き込んでみて下さい-確実に耳が肥えるでしょう。
また、日本のコーネリアスも本作のファンでしょうが、それは“Noひねりパクリ”として
現れてしまったのは残念。オマーはスティーヴィーのモロパク皆無、資質の伝承者なのです。
そんなオマーとSTEVIEは10年前から共演録音があり、永年その行方が懸念されていましたが
〜近く発売されるとの事。しかし今後オマーが売れても売れなくても…彼は僕のHEROです。
僕が現代のアーティストをここまで誉める事は…それは異常事態に近い稀な事なのです。

◎この辺り好きに→スティーヴィー・ワンダースティービー・ワンダー/ジャミロクアイ/R・ケリー/ネリー/ディアンジェロ/プリンス/ネプチューンズ

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